応用一般均衡分析とCGE分析


私の研究の専門は"computable general equilibrium analysis"という分野です。略してCGE analysisになります。これを日本語ではよく「応用一般均衡分析」と呼びます。しかし、"computable general equilibrium analysis"の正確な日本語訳は「計算可能な一般均衡分析」です。そして、本来、「応用一般均衡分析」というのは英語の"applied general equilibrium analysis"の訳です。

つまり、本来の正確な用語の対応関係は次のようになっています。

  • Computable general equilibrium analysis ←→ 計算可能な一般均衡分析
  • Applied general equilibrium analysis ←→ 応用一般均衡分析

それが実際には「CGE analysis = 応用一般均衡分析」というような用語の使われ方がされるということです。私もよくそういう使い方をしています。なぜこのような(ある意味不正確な)用語の使われかたがされているのかを今回説明したいと思います。

といっても、私も正確な理由・経緯をちゃんと把握しているわけではなく、おそらくこういう理由・経緯でこうなったのではないかという程度の推測にすぎません。間違っているかもしれません。


CGE analysisとAGE analysis

まず、元の英語の"CGE analysis"と"AGE analysis"ですが、これが同じ概念を指しているのなら、(日本語訳としては少し変ですが)意味としては「CGE analysis=応用一般均衡分析」がそのまま成り立つことになります。実際のところどうかというと、少なくとも昔は違う意味で利用されていたようです。

このためか、Wikipediaの"Applied general equilibrium"のページでもAGE analysisとCGE analysisは区別されています。

Applied general equilibrium – Wikipedia

私もあまりわかっているわけではないのですが、二つは次のような違いがあるようです。

AGE analysis

こちらは元々は抽象的なモデルから始まった一般均衡モデル(特にArrow-Debreuモデル)を数値的に解くことを目指すことから始まったようです。一般均衡解となる均衡価格を実際に数値的に求めるにはどうすればよいのかという問題意識から始まり、まずHerbert Scarfがそのためのアルゴリズム(Scarf algorism)を考案し、その後、それが改良されていくというような流れです。

CGE analysis

こちらは産業連関分析を一般均衡モデルに拡張していく流れで、Leif Johansenから始まっているようです。まず産業連関表というデータとそれに基づくシミュレーション分析である産業連関分析があり、それを一般均衡モデルによるシミュレーションに拡張していく流れです。具体的には産業連関分析では外生的に扱われていたり、考慮されていない最終財への需要、最終財市場、生産要素市場、及びその他の金銭的なフローを内生的に扱うようなモデルへの拡張です。生産関数における投入物間の代替の考慮もそれに含まれます。

こちらのアプローチでは、分析は

  • 基準データにおいて経済が均衡していると仮定。それを基準均衡という。
  • 基準均衡に何らかのショック(政策の変化などの外生的なショック)が与えられたときに、均衡がどう変化するかを分析する。

という手順に従っておこなわれます。

AGE analysisでは均衡解は未知のものですが、こちらの場合は、基準データの状態で経済が均衡状態にあるという前提をおくので、基準均衡は事前にわかっています。その基準均衡の状態がショックによってどう変わるかを分析するという形です。つまり、完全に未知の均衡解を求めるというのではなく、既にわかっている解がショックによってどう変化するかを計算するということです。

Shoven and Whally

以上のように元々は違う概念、アプローチをそれぞれ指していたようです。しかし、(その経緯はよくわからないですが)80年代くらいにはどちらもほぼ同じようなものになったようです。正確に言うと、AGE analysisの指すものが結局CGE analysisと同じようなものになったようです。

というのは、70年代、80年代におけるAGE analysisの代表的な研究者であるJohn Shoven‪John Whalley‬の二人がAGE analysisと呼んでいる分析が現在CGE analysisと呼ばれているものとほとんど同じだからです。

Shoven and Whallyの研究については

Shoven, B. J. and Whally, J. (1992), Applying General Equilibirum, Cambridge Surveys of Economic Literature, Cambridge University Press.

にまとめられています。

このように、AGE analysisとCGE analysisは結局同じようなものを表すようになったようです。そして、なぜかはわかりませんが、その後、海外ではAGE analysisではなく、CGE analysisという用語が定着したようです。現在ではAGE analysisという用語を使う人はほとんどいないと思います。


日本では

一方、日本ではCGE analysisが指すアプローチを「応用一般均衡分析」と呼ぶことが多いです。日本でこの用語が使われるようになった理由は二つあると思います。

一つ目の理由は、日本でCGE analysisが指すようなアプローチが知られるようになった際に、上で挙げたShoven and Whallyによる書籍"Applying General Equilibirum"の翻訳書である

ジョン・B・ショウヴン, ジョン・ウォーリ(1993)『応用一般均衡分析 : 理論と実際』,小平裕訳,東洋経済新報社

や、Shoven and Whallyと同じ分析手法で日本経済を分析した研究をまとめた

市岡修(1991)『応用一般均衡分析』,有斐閣

という書籍の影響が大きかったからだと思います。この二冊の書籍がどちらも「応用一般均衡分析」という用語を利用しているので、CGE analysisのような分析を応用一般均衡分析と呼ぶことが多くなったのではないかと思います。

またそれに加え、私はCGE analysisの直訳の「計算可能な一般均衡分析」という用語が、「応用一般均衡分析」という用語と比較して、あまりスマート(?)な用語ではないということも大きいのではないかと思います。

これは単に私個人の感覚ですが、「計算可能な」は日本語としてもあまりなじみがないですし、言葉としていかにも直訳っぽく、スマートな言い方じゃない気がします。一方、「応用」という言い方はよく使いますし、「一般均衡モデルを現実の経済の分析に応用している」というCGEモデルの特徴も示唆してくれますので、自然な用語に感じます。仮にCGEとAGEが全く意味が違うというのなら、CGEの訳語に「応用一般均衡」を使うのはさすがに不適切ですが、どうせ似たような意味ということで、多くの人が「応用」という用語を使いたがったのではないかと推測してます。

結局、話をまとめると、

  • 正確な用語の使い方ということで言えば、"CGE analysis"は日本語では「計算可能な一般均衡分析」と呼ぶべき。
  • しかし、AGE = CGEといってもいいので、意味としては「応用一般均衡分析」と呼んでも間違いではない。
  • 日本では、最初に「応用一般均衡分析」という用語が定着したのと、「計算可能な」より「応用」という用語の方が好まれるので、日本語では「応用一般均衡分析」を使う人が多くなった。

ということではないかと思います。

まあ、間違ってるかもしれませんが。

20年前のMOディスク


私がはじめてパソコンを購入したのは早稲田の大学院修士課程に入学した頃ですので、1996年頃だったと思います。ただ、あまりスペックが高いパソコンではなく、しかも家はネットの通信環境がよくなかったので(ダイアルアップだったので)、大学のパソコンルームのパソコンをよく利用していました。98年、99年頃には24時間オープンしているパソコンルームもあったので、夜にもよく利用していました。ただ、大学のパソコンには自分の必要なソフトがインストールされていないため、MOディスクに必要なソフトやファイルを入れて持ち歩いていました。

今の若い人は「MOディスク」のことなど知らないと思いますが、大きさはフロッピーディスクくらいで、フロッピーディスクと同様に書き換え可能なメディアですが、その当時としてはかなりの容量を保存できるということで、利用者もそれなりにいたと思います(そもそも若い人はフロッピーディスクも知らないでしょうが)。なぜか大学のパソコンにはMOドライブが設置されていたので、MOディスクに必要なソフトやファイルを入れて持ち歩いていました。

その当時使っていたMOディスクをずっととってあったのですが、今はMOドライブなど私自身持っていないですし、身近なところにもないので、その中身を読むことができませんでした。が、最近、MOドライブの中身を吸い出して、CDなどへコピーをしてくれるサービスがあることを知ったので、それを利用して中身を取り出してもらいました。代金は1000円くらいでした。

なにが入っているかよく覚えていなかったのですが、以下のものが入っていました。

  • Meadow(Emacs)一式
  • Meadowの設定ファイルいろいろ
  • TeX一式
  • TeX関連のソフト(dviout, ghostscript, gsviewなど)
  • bash, gzipのようなUnix系のコマンドラインのプログラム
  • 修士論文のTeXのファイル
  • その他のソフトウェア
    • gnuplot
    • lha
    • Perl 5
    • plain2
    • Mayura Draw

今は論文(やその他のいろんな資料、書類)を書くのに主にWordを利用していますが、その当時は主にTeX(pLaTeX)を利用して論文を書いていました。また、そのTeXのソースの編集にはエディタの 「Meadow」を使っていました。MeadowというのはUnixのエディタEmacsをWindowsに移植したものです。今はEmacs自体のWindows版があるのですが、その当時はまだUnix版しかなく、WindowsユーザーはMeadowを利用していました。

また、その頃、bashやgzipやらのUnixのコマンドがWindowsに移植されるようになったので、それも使っていました。

Mayura Drawというのは図を描くためのソフトです。Adobe Illustratorのようなベクター画像を描けます(もちろん、機能はillustratorと比べれば少ないですが)。論文に入れる図などは、これで描いて、それをEPS画像にして使っていました。試しにクリックしてみたら、20年以上前のプログラムなのに、Windows 10でちゃんと起動して、使えました。

gnuplotはグラフを描くため、PerlはTeXのコンパイルにlatexmkというPerlスクリプトを利用していたので、インストールしていました。plain2というのは、普通に書いた文章をTeXのファイルに変換してくれるソフトです。結局、全然使いませんでしたが。

ちょうど修士論文を執筆しているときに利用していたディスクなので、修士論文のファイルも一式入っていました。TeXで書いていたので、TeXのソース一式です。修論のメインのファイルを見てみると、PSfragを使うなど、ちょっとトリッキーなこともしています。PSfragとはEPS画像の中の文字列を別の文字列で置き換えるというパッケージです。また、その頃にはもうBibTeXも使っていて、しかも、bstファイルも修論用に自分でアレンジしたものを使っていました(aer.bstを修正したものでした)。

試しに修士論文のTeXファイルを現在インストールしているTeX(TeX Live 2020のTeX)でコンパイルしようとしましたが、エラーになりできませんでした。そこで、MOに入っているTeXを使ってコンパイルしたところ上手くできました。それでできたDVIファイルをdvi2psでPS(postscript)ファイルにし、さらにps2pdfでPDFにしました。dvipdfmでPDFファイルに直接変換するのではなく、dvi2psで一度PSファイルに変換するのは、TeXファイルで利用しているPSfragがdvipdfmに対応していないためです。

できあがったPDFファイルはちょっと図の部分がおかしいところを除いて上手くコンパイルできています。TeXの原稿のファイル自体はテキストファイルですので、20年前のファイルを今でも普通に編集できますが、それをコンパイルするとなるとちょっと大変ですね。まあ、特殊な命令やパッケージを利用していなければ今のTeXでもそのままコンパイルできることが多いとは思いますが。

ついでに一緒にMOに入っているMeadowを使ってみようとしましたが、こちらは全く起動しませんでした。もうWindows 10では動かないのかもしれません。Emacsの設定ファイルである".emacs"ファイルには

;;;;;          -*- mode: lisp-interaction; syntax: elisp -*-
;;;;;
;;;;;              .emacs for Meadow (Shiro TAKEDA)
;;;;;
;;;;;              First written: <1999/02/14 18:12:16>
;;;;;
;;;;;              Time-stamp: <1999/02/15 04:24:33>

と書かれているので、1999年のものです。

Meadowの前にはUnixのMuleをWindowsに移植した「Mule for Win32」も使っていたので、Emacs(系のソフト)をもう22、3年利用していることになります。今はEmacs以外にもエディタはたくさんあり、Emacsの利用者は減っているようですが、私は今後もEmacsをメインのエディタとして使うと思います。さすがに20年も使うと他に移りにくいというか、移る気が起きません。

論文における参考文献の形式・情報


昔は経済学では研究は個人でおこなうことが多く、論文も単著が多かったと思いますが、今では経済学でも共同研究が多くなり、論文も共著が増えてきました。正確な割合はわかりませんが、半分以上の論文は共著論文じゃないかと思います(単なる私の印象ですが)。特に、実証分析の論文は共著が多いと思います。

共著論文が増え、さら一本の論文における著者数も増える傾向がありますが、経済学では著者の数はせいぜい数名程度(多くても十数名)だと思います。これに対し、研究分野によっては、共同研究の規模がはるかに大きく、著者数も非常に多くなることがあるようです。

例えば、次の二つの論文はどちらも物理学(天文学?)の分野の論文のようですが、著者数は Aad et al. (2012) がおよそ3000名(!)、Abbott et al.(2016) はおよそ1500名です。

Aad et al. (2012), Physics Letters B,
http://dx.doi.org/10.1016/j.physletb.2012.08.020

Abbott et al. (2016), The Astrophysical Journal,
http://dx.doi.org/10.3847/2041-8205/826/1/l13

別の論文を自分の論文で引用した場合、参考文献の部分に引用した文献の情報を掲載することになりますが、上記のような論文の場合、その全ての著者を掲載することは難しいです。

このような場合、著者の一部のみを掲載することが普通のようです。例えば、

Aad, G. et al. (2012) "Observation of a new particle in the search for the Standard Model Higgs boson with the ATLAS detector at the LHC," Physics Letters B, Vol. 716, No. 1, pp. 1–29, DOI: 10.1016/j.physletb.2012.08.020.
のように筆頭著者の名前のみを出す場合もあれば、
Aad, G., T. Abajyan, B. Abbott et al. (2012) "Observation of a new particle in the search for the Standard Model Higgs boson with the ATLAS detector at the LHC," Physics Letters B, Vol. 716, No. 1, pp. 1–29, DOI: 10.1016/j.physletb.2012.08.020.

のように第三著者まで名前を出すような場合もあるようです。これは雑誌によって変わってきます。

BibTeX において上記のような処理をおこなう最も単純なやり方は自分で BibTeX のデータベース(bib ファイル)を修正することです。具体的には、実際には多数の著者が登録されている author フィールドの値を

author = {G. Aad and others}
author = {G. Aad and T. Abajyan and B. Abbott and others}

のように"and others"を用いて書き換えてしまうということです。こうすれば参考文献部分が上記のように処理されます(これはどの bst ファイルを使っているかにもよりますが)。

しかし、この方法では著者数が非常に多い論文を引用しようとする際に、いちいち自分でデータベースを書き換える必要があり少し面倒です。

jecon.bst は元々経済学分野を念頭に置いて作成しており、対象となる論文はそれほど著者数が多くありません。そのため参考文献部分では常に全ての著者の名前を掲載するようにしていましたが、今回、上記のように著者数が非常に多い論文をそのまま扱えるように jecon.bst に修正を加えました。

具体的には、

  • N1人の著者がいる場合は、最初のN2人のみの名前を掲載し、残りは「et al.」(日本語論文の場合は「他」)で省略する。

という処理にしました。

N1 と N2 の数値はそれぞれ "bst.max.author.num" と "bst.max.author.num.display"で決定されています(デフォールト値はそれぞれ 8 と 3です)。

詳しくはjecon-example.pdfの「著者数が非常に多いケース」という項か jecon-many-authors.pdfの説明を読んでください。

話は変わりますが、先程上で例として挙げた

という論文はそれぞれ "Physics Letters B"、"The Astrophysical Journal Letters" という雑誌の論文ですが、どちらも参考文献部分では論文の情報として著者名、雑誌名、巻、ページ、年しか掲載していないです。つまり、論文のタイトルは掲載していないです。参考文献部分の形式、情報は雑誌や分野によってかなり違いますが、どんな分野であっても参考文献情報として論文のタイトルは掲載するものだと思っていたので、これにはちょっと驚きました。

まあ、論文へのリンクは張ってあるので、リンク先に飛べばタイトルもわかります。ただ、いちいちタイトルを見るためにリンク先に飛ぶのも面倒に感じますが、そうでもないのでしょうか?それとも論文のタイトルが重要な情報と見なされていないということでしょうか?私個人は、参考文献部分を見るときには、やっぱり論文のタイトルを知りたいので、タイトルは必ず掲載して欲しいなと思います。

いずれにせよ、研究分野によって、参考文献部分の書式、情報もかなり違うということがわかりました。

BibTeX用の文献データベース


昔は bib ファイル(BibTeX用のデータベース)は自分で作成するものでした。しかし、最近はネットから bib ファイルの情報を入手したり、文献データベースソフトから bib ファイルを作成できるようになりました。英語の論文なら、例えば

  • 雑誌の出版社のページ
  • Google Scholar
  • IDEAS(これは経済学系の論文のみみだと思いますが)
  • Cinii(ここは主に日本語の論文のデータベースですが、英語の論文のデータもあります)
  • Mendeley(文献管理ソフトのMendeleyから出力)

などから bib データが入手できます。

このようにネット等から入手可能ですので、自分で手作業でデータベースを作成するという面倒な作業をする必要がなくなり非常に楽になりました。 それはいいのですが、現状では同じ文献であっても、どこから入手するか(つまり、ソース)によって含まれる情報が異なることが多いので少し困ります。

以下の論文を例にとって、説明します。

Shiro Takeda (2007) "The double dividend from carbon regulations in Japan", Journal of the Japanese and International Economies, 21(3), pp. 336-364.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002

上記の論文の場合、以下の5つのソースから bib データを入手できます。

  • 雑誌の出版社(Elsevier)のページ
  • Google Scholar
  • IDEAS
  • Cinii
  • Mendeley

実際、入手できるデータの内容を以下に掲載します。

■ 出版社(Elsevier)の論文のページ

まず、出版社(Elsevier)の論文のページ(↓のページ)から取得できる bib データからダウンロードできる情報

@article{TAKEDA2007336,
  title        = "The double dividend from carbon regulations in Japan",
  journal      = "Journal of the Japanese and International Economies",
  volume       = "21",
  number       = "3",
  pages        = "336 - 364",
  year         = "2007",
  issn         = "0889-1583",
  doi          = "https://doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002",
  url          =
                  "http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889158306000128",
  author       = "Shiro Takeda",
  keywords     = "The double dividend, Carbon regulation, CGE analysis, Japan",
  abstract     = "Using a multisector dynamic CGE model, this paper examines the
                  double dividend from carbon regulations in Japan. The model
                  has 27 sectors and goods (eight goods generate carbon
                  emissions) and covers 100 years (from 1995 to 2095). When
                  carbon regulations are introduced, pre-existing taxes are
                  reduced, keeping government's revenue constant. Our main
                  findings are summarized as follows. First, the weak double
                  dividend arises in all scenarios. This means that by using
                  revenues from carbon tax to finance reductions in pre-existing
                  distortionary taxes, one can achieve cost savings relative to
                  the case where the tax revenues are returned to households in
                  lump-sum fashion. Second, the strong double dividend does not
                  arise from reductions in labor and consumption taxes, but it
                  does from reductions in capital tax. The second result is
                  attributable to the nature of the pre-existing tax system in
                  Japan where capital taxes are more distortionary than labor
                  and consumption taxes. J. Japanese Int. Economies21 (3) (2007)
                  336–364."
}

■ Google Scholar

次は、Google Scholarから取得できる bib データ → これ

@article{takeda2007double,
  title        = {The double dividend from carbon regulations in Japan},
  author       = {Takeda, Shiro},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  volume       = {21},
  number       = {3},
  pages        = {336--364},
  year         = {2007},
  publisher    = {Elsevier}
}

■ IDEASのデータ

IDEASから取得できる bib データ → このページから取得できるもの

@Article{RePEc:eee:jjieco:v:21:y:2007:i:3:p:336-364,
  author       = {Takeda, Shiro},
  title        = {{The double dividend from carbon regulations in Japan}},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  year         = 2007,
  volume       = {21},
  number       = {3},
  pages        = {336-364},
  month        = {September},
  keywords     = {},
  doi          = {},
  abstract     = {No abstract is available for this item.},
  url          = {https://ideas.repec.org/a/eee/jjieco/v21y2007i3p336-364.html}
}

■ cinnのデータ

ciniiから取得できる bib データ → このページから取得できるもの。

@article{10029652176,
  author       = "TAKEDA, S.",
  title        = "The Double Dividend from Carbon Regulations in Japan",
  journal      = "Journal of the Japanese and International Economies",
  ISSN         = "",
  publisher    = "",
  year         = "2007",
  month        = "",
  volume       = "21",
  number       = "3",
  pages        = "336-364",
  URL          = "https://ci.nii.ac.jp/naid/10029652176/",
  DOI          = "",
}

■ Mendeley

Mendeleyで文献を管理していて、それをbibデータとして出力して得られるもの。

@article{Takeda-2007-DoubleDividendfrom,
  abstract     = {Using a multisector dynamic CGE model, this paper examines the
                  double dividend from carbon regulations in Japan. The model
                  has 27 sectors and goods (eight goods generate carbon
                  emissions) and covers 100 years (from 1995 to 2095). When
                  carbon regulations are introduced, pre-existing taxes are
                  reduced, keeping government's revenue constant. Our main
                  findings are summarized as follows. First, the weak double
                  dividend arises in all scenarios. This means that by using
                  revenues from carbon tax to finance reductions in pre-existing
                  distortionary taxes, one can achieve cost savings relative to
                  the case where the tax revenues are returned to households in
                  lump-sum fashion. Second, the strong double dividend does not
                  arise from reductions in labor and consumption taxes, but it
                  does from reductions in capital tax. The second result is
                  attributable to the nature of the pre-existing tax system in
                  Japan where capital taxes are more distortionary than labor
                  and consumption taxes.},
  author       = {Takeda, Shiro},
  doi          = {10.1016/j.jjie.2006.01.002},
  issn         = {08891583},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  keywords     = {CGE,Double dividend,Japan,carbon tax,dynamic C},
  month        = {sep},
  number       = {3},
  pages        = {336--364},
  title        = {{The Double Dividend from Carbon Regulations in Japan}},
  url          = {http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0889158306000128},
  volume       = {21},
  year         = {2007}
}

5つのソースからのデータの違い

同じ文献であっても、ソースによってデータが異なることがわかると思います。どこが異なるか簡単にまとめます。

[注]

以下では、主に「論文で引用した際に参考文献(reference)に掲載するための情報」という観点で考えます。純粋に文献の情報のデータとして考える場合にはまた事情が異なると思います。

項目の違い
  • そもそもソースによって、提供されている項目とされていない項目に違いがあります。
  • 例えば、abstract, doi, url, keywords, publisher 等のフィールドはソースによって提供されて いたりいなかったりします。
引用のためのキーワード
  • ソースが異なると引用のためのキーワードが全く違います。
  • BibTeXで引用するときには、このキーワードを用いて引用しますから、ソースが異なるとTeXのファイルの方も変更が必要になります。
author
  • ciniiでは著者の姓が全て大文字になっています。
  • 名前の姓の部分を大文字で表現することはよくありますが、論文で引用するとき、参考文献に掲載するときにはそういうものはあまり見ないので、全て大文字ではなく、普通の形式がいいと思いますが。
  • ただ、欧米人以外では大文字で示さないと、どちらが姓かわからなくなることがあるのかもしれません。
title
  • 「{」、「}」で囲んである場合とない場合があります。
  • 括弧で囲んである場合、BibTeX の処理の際に全く変更(文字列の大文字化、小文字化等)がおこなわれなくなります。
  • IDEAS & Mendeley → 囲みあり
  • その他 → 囲みなし
DOI
  • 最近は DOI 情報を含んでいるものが多いですし、実際、reference での情報において最も重要な情報ではないかと思います。ですので、DOIが提供されていないと困ります。
  • Elsevier -> https://doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002
  • Mendeley -> 10.1016/j.jjie.2006.01.002
  • その他 → 提供なし
  • Elsevier と Mendeley では提供されていますが、その形式が異なります。Elsevier では https://doi.org/ の部分も含まれます。この二つ以外は DOI 情報の提供はなしです。
ページ番号
  • これはどのソースでも提供されていますが、形式が異なります。
  • Elsevier → "336 – 364",
  • IDEAS と cinii → "336-364",
  • Google と Mendeley → "336–364"
  • 形式が異なると、BibTeX で処理する際に統一的な処理が難しくなってしまいます。
ISSN
  • ISSN(International Standard Serial Number、国際標準逐次刊行物番号)は雑誌を識別するための番号だそうです。reference に情報として掲載されているのは見たことがありません。ジャーナル名の情報があればそれですみますので、特に必要ないのですが、もしかしたら必要なときがあるのかもしれません。
  • Elsevier → "0889-1583"
  • Mendeley → "08891583"
  • 他 → 提供なし
URL
  • Elsevier → http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889158306000128
  • IDEAS → https://ideas.repec.org/a/eee/jjieco/v21y2007i3p336-364.html
  • cinii → https://ci.nii.ac.jp/naid/10029652176/
  • Mendeley → http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0889158306000128
  • Google → なし
  • Google 以外は提供しています。しかし、ソースによって情報が異なります。そもそも出版されている論文については URL よりは DOI を提供した方が望ましく、むしろ URL は変更される可能性が高いということで情報を載せない方がいいのではないかと思います。
  • DOI が存在する文献については、意味のない(むしろ有害な?)情報だと思います。
その他
  • abstract, keyword, publisher 等のフィールドについても出所によって提供されて いたりいなかったりします。

どの情報をreference に表示するかは、雑誌によって微妙に異なりますが、ある程度は共通した方針があると思います。微妙な違いとは、例えば、雑誌によっては journal article の巻(volume)は掲載するが、号(number or issue)は掲載しないとしているような違いです。この程度の違いでしたらどっちでもいいかと思います。

journal article については最近 DOI 情報を含んでいる文献データが多いと思います。DOI は論文の掲載場所を一意に表す役割をはたしているので、最も重要な情報ではないかと思います。仮に他の情報が掲載されていないくても、DOI さえわかれば他の情報は全て DOI から探せますので。上に挙げたソースでは DOI を提供しているものとしていないものがありますが、もし文献情報を提供するのなら(journal articleについては)必ず DOI は提供してもらいたいと思います。

BibTeX における処理という観点からは、ソースによって提供されている情報が変わることはあまり問題にはなりません。というのは、情報が提供されていれば表示し、されていない場合には表示しなければいいだけですから。

BibTeX の処理で問題になるのは、ソースにより提供されている情報の形式が異なる点です。例えば、DOI は Elsevier が提供する形式と Mendeley が提供する形式で異なります。Mendeley形式のDOIの情報をElsevier形式を前提としてBibTeXで処理すると間違った DOI の表記になってしまいます。BibTeXでの処理方法(つまり、bstファイルの作成)を考えるときには、文献の情報がある決まった形の形式で提供されていることを前提としますので、複数の形式があるのは困ります。

ページ番号の情報も、ソースによって形式が異なっているので、同じことが言えます。

また、できれば BibTeX の引用用のキーワードは統一されていると便利ですが、データベースを作成しているところがばらばらに独自の方法でつけているので、統一は難しいですね。

文献のデータベースがネットで提供されるようになり、便利にはなりましたが、改善してくれるといい点がまだまだありますね。

MPSGEについての文書の改訂


「このページ」に GAMSの MPSGE の利用方法について説明した文書を置いています。まだ書きかけでずっとほったらかしにしていたのですが、久しぶりに内容を追加しました。

モデルの例として、1) 排出権取引による排出規制のモデル、2) 炭素税による排出規制のモデルの二つの説明とプログラムを追加しています。ついでに、二重の配当の分析もおこなっています。

データは数値例にすぎませんし、モデルも実際のCGE分析で利用するものよりも非常に単純化されたものですが、私が自分の研究で利用しているCGEモデルも、排出規制の部分の要点はこのサンプルのプログラムとほとんど変わりません。

同じ排出規制であっても、多くの人は排出権取引よりも炭素税の方がよりオーソドックスで単純なものと考えているのではないでしょうか。やはり税と比較し、排出権取引はあまりなじみがない規制方法ですから。

しかし、MPSGE でのモデル化という観点ではむしろ排出権取引の方が単純で、炭素税はすこしトリッキーな方法を用いないと MPSGE では扱えないです。その理由は「炭素税は一種の従量税」であるのに対し、MPSGEで直接扱えるのは「従価税」だけだからです。ただ、「内生的な従価税率(補助変数)+$constraint命令」を上手く利用することで、MPSGEでも炭素税を扱えます。上のサンプルのコードでもその方法を使っています。

さらに言えば、上のサンプルのモデルでは「排出権取引と炭素税の同値性」が成り立つので、極端な話、排出権取引のモデルで解いた結果を、炭素税という政策によって求めた結果と説明しても全然問題ではないのですが。

MPSGEは非常に便利なツールですが、その欠点として、表現できるCGEモデルに制約があり、どのようなモデルでも自由にMPSGEで記述できるというわけではないということがあります。その点についての説明もいずれ追加したいと思います。

PHP5.6→PHP7.3へのアップグレード


このブログやホームページはさくらインターネットでスペースを借りて作成しています。ホームページにはmodx、ブログにはWordPressを利用しています。どちらもPHPを利用していますが、これまでずっとPHP5.6を利用していました。PHP5.6はずっと前にサポートも終了し、かなり古いので、PHP7.3を利用するように設定を変更しました。

変更したところ、ホームページの一部のページが表示されなくなりました。調べてみると、それはmodxのPage TOC generatorという目次を作成するプラグインを利用しているページでした。どうもPHPが上手く動作していないようだったので、PHPのログファイル(php-error.log)を見たところ、

 PHP Fatal
error: Uncaught Error: Call to undefined function ereg() 

というエラーが出ていました。Page TOCD generatorで利用されているereg という関数がないようです。新しいPHPではこの関数はなくなってしまったようです。

調べたところ、新しいPHPでは「ereg関数」の代わりに「preg_match関数」を使うということだったので、

ereg("<h1", $header_tags[$i]))

というようなコードを

preg_ereg("/<h1/", $header_tags[$i]))

と置き換えたところ正常に動作するようになりました。

私にはPHPについてのまともと知識を持っていないので、アップデートもなかなか大変です。

今のさくらインターネットでのホームページを起ち上げて10年以上、ずっとmodxを利用してきました。modxに特別不満があるわけではないですが、modxはやはりある程度スキルがない人じゃないと適切に管理していくことが難しいような気がしますので、何か別のCMSに変更しようかなと思っています。それか、もう自分でCMSを導入するのはやめて、Google Siteなどのサービスに移行したほうがいいかもと思っています。

別のCMSに変えるとしたらやはりWordPressでしょうか。WordPressは元々はブログ用のCMSだと思いますが、今はWordPressでホームページを作成している人が非常に多いと思います。日本語での情報も多いですし、開発も活発ですし。ただ、既にブログの方でWordPressを利用しているので、ホームページにもWordPressを利用するのはちょっと面白くないですが。

econ.bstでジャーナル名の短縮表示に対応


econ.bst でジャーナル名の短縮表示に対応しました。対応したのは、cusomizationフォルダに置いてあるecon-abbr.bst、econ-jet.bst、econ-jpe.bst です。

この bst ファイルを利用すると、例えばbibファイル(BibTeXのデータベース)でjournal フィールドに以下のように指定してあった場合

    journal = {American Economic Review}

実際のジャーナル名の表示は "Am. Econ. Rev." になります。他の例は econ-abbr.pdfecon-jet.pdfecon-jpe.pdf を見てください。

どうやって短縮表示にしているのかというと、単純に bst ファイルの中に「ジャーナル名」とその「短縮形」のペアを登録して、ジャーナル名が登録したものにマッチしたら置きかえるというようにしています。300個くらいの雑誌を登録してあるので、その分 bst ファイルのコードがものすごく長くなります。ですので、普通の econ.bst には入れず、econ-abbr.bst、econ-jpe.bst と econ-jet.bst だけで対応しています。短縮形を登録していないジャーナルは変換されないです。登録してあるジャーナルはcustomizationフォルダの中の journal_name.xlsx で見れます。

プログラミングがしやすい biblatex を使って短縮形の対応をするならまだしも、普通の BibTeX (bstファイル)でこんなことをしようと思うのは世界で私くらいだと思います...

国際間の排出量取引の論文のシミュレーションのプログラム


「ここのページ」 で紹介した、国際間の排出量取引を分析した論文で使っているシミュレーションのプログラムを以下のページで公開しました。 関心のある方は見てみてください。

http://shirotakeda.org/en/research/cge-iet.html

プログラムはGAMSで記述されています。ファイルを細かく分けてあるので、少し読みにくいですが、モデル自体はGTAPデータベースに基づく比較的単純な多地域モデルです。

カーボンプライシングと二重の配当についての記事


週刊東洋経済に早稲田大学の有村俊秀先生と「カーボンプライシング(炭素価格政策)」についての記事を書かせてもらいました。以下のページの記事です。

脱炭素社会への切り札、カーボンプライシング
有村 俊秀:早稲田大学政治経済学術院教授 / 武田 史郎:京都産業大学経済学部教授 週刊東洋経済、2019年8月3日号

カーボンプライシングと環境税制改革による二重の配当について書いたものです。


炭素税や排出量取引などのカーボンプライシングでは、政府に新たな収入が生じる場合が多いです。その新たな収入によって、既存の税、例えば、所得税、法人税、消費税等を減税するという政策が考えられます。排出規制とともに、既存の税の減税をおこなうことで、環境の改善(CO2排出量の削減)とともに経済効率の改善が実現することを「二重の配当」という言います。二重の配当について詳しくは、以下の事典の中の私が執筆した「二重の配当」という項目で説明していますので、できればそれを見ていただきたいです。

環境経済・政策学会編(2018)『環境経済・政策学事典』,丸善出版(このページのページで紹介した本)

カーボンプライシングと二重の配当については、昨年、有村俊秀先生、尾沼広基さんと共著で、『環境経済・政策研究』にも論文を書きました。サーベイ(展望)論文です。

有村 俊秀, 武田 史郎, 尾沼 広基(2018)「環境論壇 炭素価格の二重の配当 -環境と経済の同時解決に向けて-」,『環境経済・政策研究』,11巻,2号,p73-78, https://doi.org/10.14927/reeps.11.2_73

この論文は二重の配当仮説についての既存研究についてまとめたサーベイ論文です。二重の配当の考え方自体はかなり前からあるもので、これまでもシミュレーション分析(CGEモデルによる事前的な分析)は数多くおこなわれていましたが、各国で実際に炭素価格政策(炭素税や排出量取引)が導入されるようになり、事後的な実証的な研究(計量経済学的な分析)も増えてきました。この論文はそういった新しい事後的な研究についても紹介しています。

大阪大学名誉教授の伴金美先生


もうかなり時間がたってしまいましたが、大阪大学名誉教授の伴金美先生が2018年12月にお亡くなりになりました。

私は研究において伴先生にいろいろお世話になりました。その縁もあり、環境経済・政策学会のニュースレターで伴先生の追悼文を書かせていただきました。

『環境経済・政策学会 ニュースレターNo.40』,2019年3月31日発行
http://www.seeps.org/pdf/newsletter/SEEPS_NL40.pdf

経済学者でしたら多くの方が伴先生のことはご存じだとは思いますが、私が伴先生に最初にお目にかかった2000年くらいからのことを書いていますので、読んでいただければ幸いです。