応用一般均衡(CGE)分析の解説文書(2017-03-17)


久しぶりに「応用一般均衡(CGE)分析の解説文書」というページに文書(Part 13 と Part 14)を追加しました。また既存の文書も(少しですが)改訂しました。

Part 13 では CGE 分析における「投資」の扱い方について説明しています。ただし、モデルとしては静学モデルを前提としています。CGEモデルは実際のデータをベースとしてシミュレーションをする手法ですので、仮に静学モデルを利用するとしても何らかの形で投資を扱う必要がでてきます。それについて説明をしています。

Part 14 では CGE 分析における「政府」の扱い方について説明しています。ここまででも税金などの政策は扱ってきましたが、1) 政府消費は考えていない、2) 税収を全て家計の収入としていたということで、政府を明示的には扱っていませんでした。ここでは、政府消費という政府の活動、及び税収の扱い方等について説明しています。また、税金を変更する様々なシミューレションをおこない、現実には大きな効果がありそうな政策が、CGE モデル(実物モデル)では全く効果を持たないようなケースを紹介しています。

Part 14 までは仮想的なデータに基づいた CGE モデルでしたが、次の Part 15 で日本のデータを用いて日本の CGE モデルを作成する方法について説明したいと思います。ただ、Part 15 を書くのにはまだ時間がかかりますが。


jecon.bst (ver.5.2)


jecon.bstですが、前は新しくしたらここでアナウンスしていましたが、最近はたいした更新もないですし、配布場所自体 GitHub に変更したのでアナウンスしていません。もし関心のある人がいましたら、GitHub の https://github.com/ShiroTakeda/jecon-bst を直接見てください。

この間、「jecon.bstを改変して、ある雑誌の参考文献用のテンプレートとして配布したいがいいか?」というメールをもらいました。jecon.bst は仕事として作成しているようなものではないですので、もし改変したり、再配布したいという方がいらしたら自由にしてもらってかまいません。特に断りもいりませんし。

そういうように jecon.bst を使ってくれる人がいれば、作ったものとしてはうれしいのですが、たぶん英語圏の人はもう BibTeX をあまり使っていなくて、新しいbiblatex を使っている人が多いのではないかと思います。実際、英語の論文しか引用しないのなら biblatex で十分だと思いますし。ただ、日本語の文献も引用したいというと、まだ biblatex では望むような参考文献スタイルが(少なくとも私は)つくれないので BibTeX 使うしかないですが。

などと BibTeX の話をしましたが、自分ではもう TeX 自体あまり使っていなくて普段論文や教材など基本的に MS Word で書いています。ですので、個人的には TeX での参考文献の機能の改善よりも、Word から Mendeley の文献を引用するためのスタイルの作成に関心があります。「このページ」で紹介したようなものです。試しに作ってみただけでほったらかしにしてあるので、ちゃんとしたものを作成しようかなと思います。時間ができたらですが。


2011年3月の写真


地震のとき写真。群馬にいたときのものです。


下の写真の机から落っこちた二つのディスプレイは、いまだ使っています。ディスプレイの画面から判断すると、地震が来たときにThunderbirdでメールを読んでいたようです。Thunderbirdはもう使っていません。

2011年3月11日・地震の後

本棚から本やファイルがたくさん落ちて足の踏み場がなくなりました。

2011年3月11日・地震の後 2011年3月11日・地震の後 2011年3月11日

↓は計画停電のときの写真です。全く灯りがなくなって真っ暗になりました。普段は夜といっても灯りがたくさんあって結構明るいのだとわかりました。

2011年3月17日・停電

Bob Dylan


昔、買った本。『ボブ・ディラン全詩集』

Bob Dylan PA200160

いつ買ったのかよく覚えていないのですが、奥付を見ると1991年16刷と書いてあるので、たぶん大学生のときです。

Bob Dylan PA200163

好きな曲がいくつかある程度で、大ファンというわけでもないのに、なぜ歌詞集まで買ったのか覚えていないのですが、結局ほとんど読んでないです。理由は簡単で、私には意味が全然わからない歌詞ばかりだからです。例えば、↓のような歌詞。

Bob Dylan PA200164Bob Dylan PA200165

日本語への訳しかたのせいかもしれませんが、意味わかりません...


↓の曲が好きです。

Bob Dylan PA200167

この曲も歌詞の意味はよくわかりませんが。


写真のページ


写真を Flickr に置いています。主に大学の写真、出張に行った時の写真です。Olympus E-PL7でとったものです。

プラグインを利用するとこの WordPress にも貼り付けられます。



京都産業大学・P6260486 京都産業大学・P7020084 Happy Hacking Keyboard Professional JP P7120023 京都産業大学・神山天文台 P7060045 京都産業大学_P7200059 京都産業大学_P7220261 京都産業大学・P8210362京都産業大学・P8210441

GTAP9データについての論文


GTAP9データについての論文を書きました。 http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_rnote/menu.htmlにおいてあります。

昨年リリースされたGTAP9データの過去のバージョンからの変更点とGTAPデータを用いるときの注意点について簡単にまとめたものです。注意点というのは、GTAPデータにおける日本のCO2排出量のデータと現実の排出量のデータで大きく乖離している部分があるという点です。この乖離部分を修正するかしないかで、温暖化対策を分析するときの部門別の影響がかなり変わってくる可能性が高いです。

GTAPデータは全世界の各国のデータがセットになったもので、非常に便利なデータですが、その中の個々の国・地域のデータを見てみると、ちょっとおかしい部分が見られます。利用するときにはそういう部分にも注意することが望ましいと思います。


外国人労動の受け入れについてのシミュレーション分析の論文


"Effects of Immigration in Japan: A Computable General EquilibriumAssessment"という論文を書きました。

http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.2782708

に置いてあります。タイトルの示す通り、日本の外国人労働者受け入れの効果を CGEモデル(応用一般均衡モデル)を用いてシミュレーションによって定量的に分析した論文です。奈良県立大学の齋藤宗之さんと岡山商科大学の加藤真也さんとの共同研究です。

簡単に論文の内容を紹介します。

少子高齢化による労働力人口の減少、景気回復による人手不足を背景として、外国人労働者の受け入れを進めるべきだという主張を最近よく聞きます。この論文では、今後外国人労働者の受け入れを進めたとき(外国人労働者の数が増えたとき)に、日本経済にどのような影響があるかを分析しています。

モデルには 32 部門、2010年から2030年までの逐次動学の CGE モデルを用い、ベンチマークデータには主に JIP データ (JIP 2013) を利用しています。モデルでは労動を熟練労働、非熟練労働の二つのタイプに分割しています。

政策シナリオとしては、2010年から2030年の間に日本人の労働人口の減少量の半分に等しい外国人労働者が流入すると想定しています。モデル上ではこれは20年間で 532 万 人(年間 266,000人)の外国人労動者を受け入れることを意味します。そして、以下のようなシナリオを分析しています。

  • FL: 受け入れる外国人労働者が全て非熟練労働者(これがメインのシナリオ)
  • FL_A: 受け入れる部門を限定: 農林水産、建設、医療・介護のみ
  • FL_B: 受け入れる部門を限定: 賃金が比較的高い製造業のみ
  • FL_SK: 受け入れる外国人労働者の 20% が熟練労働者

分析している効果は、賃金、資本のレンタルプライス等の要素価格、GDP、所得、消費等のマクロ変数、部門別の生産量への影響です。

予想できることですが、結果として、外国人労動者(非熟練労働者)の受け入れは日本の非熟練労働者の賃金を低下させ、熟練労働者の賃金、資本のレンタルプライスを上昇させるという結果となりました。メインのシナリオ(FL)では、2030年時点での変化率で非熟練労働者の賃金の低下率は 4.6%、熟練労働者の賃金、資本のレンタルプライスの上昇率は 1.5%、3.6%となりました。この値はシナリオとシミュレーションの設定でかなり変わり得るのですが、非熟練労働者にとってはかなり大きなマイナスの影響をもたらす結果となています。

また、GDP、日本人の所得と消費は増加する結果となりました。メインのシナリオ(FL)ではそれぞれ 6.5%、1.5%、2.1% の増加となりました。GDPは大きく増加するのですが、GDPの増加率と比較すると日本人の所得と消費の増加率は小さいです。これはGDPの増加によって増加する所得の多くが外国人のものになるからです。

各部門の生産量に対する効果としては次のような結果が出ました。まず、非熟練労動集約的な部門の生産が大きく増加するとは限らないという結果になりました。生産要素賦存量の増加の効果については「リプチンスキーの定理( リプチンスキーの定理 – Wikipedia)」が有名です。リプチンスキーの定理に従えば、賦存量が増加した要素を集約的に利用する部門の生産が増加し、そうではない部門の生産が減少することになります。しかし、我々のシミュレーション結果ではそうなるとは限らないという結果になりました。このようにリプチンスキー定理と異なる結果が出た理由は、リプチンスキー定理が前提としている単純な2財2要素のHOモデルではなく、多数財、多数の要素のモデルを用いているということもありますが、リプチンスキー定理が財の価格が固定された状況を前提としているのに対し、我々のシミューレションでは財の価格も変動するという理由もあります。

外国人労働者の受け入れ部門を限定する FL_A や FL_B のシナリオでは外国人を受け入れる部門の生産が大きく増加するという結果になりそうです。FL_B では実際にそうなりましたが、FL_A ではそうなりませんでした(外国人受け入れ部門の生産がほとんど増加しないという結果)。なぜこのような結果になったかというと、FL_A のケースでは外国人が入ってくることで賃金が低下し、日本人労働者が他の部門に移ってしまうからです。日本人労働者が減り全体の雇用がほとんど増えないため生産が増加しないという結果になりました。この結果は、受け入れ部門を限定したからといって、必ずしもその部門の生産が増加するとは限らないということを意味しています。

感度分析として、シナリオ、設定を変更した様々なケースも計算もしました。

まず、静学モデルのケースも分析しました。外国人労働者が流入すれば、GDPが増加し、さらに所得が増加します。それは投資を促し、資本ストックを増加させます。その資本ストックの増加はさらにGDPを増加させることになります。動学モデルではこのような効果が働くため、外国人労働者受け入れのプラスの効果が大きく現われると考えられます。実際、この効果(資本蓄積を通じた効果)がどの程度強いかを見るために、資本ストックが変化しない静学モデルを利用して分析しました。静学モデルにすると日本人の所得・消費の増加率はかなり低下しましたが、GDP の増加率はあまり変わりませんでした。資本蓄積を通じた効果はGDPについてはあまり大きくないようです。

また、生産関数内の労動と資本、熟練労働と非熟練労働の間の代替の弾力性を変化させたケースも分析しました。多くの変数については結果はそれほど変化しませんでしたが、熟練労働者の賃金の変化が逆転するケースが出てきました。具体的には、「労動間の代替の弾力性が大きいケース」では熟練労働者の賃金は低下することになりました。要素価格への影響を考えるときには、このパラメータの値が重要になることがわかりました。

全体的な傾向としては、外国人労働者(非熟練労働者)の受け入れは、非熟練労働者には損で、熟練労働者、資本の所有者には得になるという結果となりました(税収も増えるので、税に頼っている人にもよいと言えるかもしれません)。どれくらい損で、どれくらい得かはモデルやパラメータの設定でかなり変わりますので、あまりはっきりしたことは言えませんが、メインのシナリオの結果のように非熟練労働者の賃金が 4.6% 低下するとなると、それなりに大きい影響だと思います。

以上、今回の論文の分析結果を一通り書いてきましたが、この分析にはいろいろ問題点もありますし、改善すべき点もあります。これについてはまた今度書きたいと思います(論文にはいくつか書いています)。

今までずっと温暖化対策の研究ばかりしてきて、外国人労働受入について分析したのは今回が初めてです。時間がとれなくてなかなか進みませんが(今回の分析も2年も前から始めてやっと論文にしました)、今後も続けたいと思います。労働(特に、外国人労働)に関するデータや制度をよく知らないので、この論文の分析をするのも結構苦労しました。労働が専門の人でこういうシミュレーションに興味がある方いないでしょうか。手伝っていただければ助かります。シミュレーションできる人がいいですが。



[注]

一ヶ月くらい前に同じ論文をアップロードしていたのですが、データの作成部分や結果の表示部分に間違いがあったので一度消して、修正していました。本来、2030年時点での変数の値を結果に掲載しているはずが、実際には2020年の値を使っていたので本当の値よりかなり小さい値になっていました。元々は2020年までのシミュレーションであったのを2030年までのシミュレーションに変更したのですが、そのとき表示する変数を2030年の変数に修正するのを忘れていたためです。早めに気づいてよかったです。


pLaTeX から upLaTeX に変更


「応用一般均衡(CGE)分析の解説文書」にある文書を書くのに LaTeX を使っています。今までずっと pLaTeX を使っていましたが、upLaTeX に変えました。

比較的最近の TeX のシステムを利用しているので、 upLaTeX 自体はインストールされています。ですので、TeX ファイルのソースを少し変更するだけですみました。まず、documentclass の部分を

\documentclass[10pt,a4j]{jarticle}  % platex 用
から
\documentclass[10pt,a4j]{ujarticle} % uplatex 用

に変更しました。

また、プリアンプルで

\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage{atbegshi}
\AtBeginShipoutFirst{\special{pdf:tounicode  UTF8-UCS2}}

を追加しました。この命令の意味はよくわかりませんが、下の二行を入れないと dvipdfmx で PDF に変換したときにブックマーク(しおり)の日本語が文字化けしてしまいます。

最後に \begin{document} の後に

\kcatcode`ç=15% not cjk character

を加えています。これも意味はよくわかりませんが、upLaTeX 用の TeX ファイルのソースではこの命令が普通追加されているので同じようにしました。

TeX ファイルのソースの変更はこれだけで、後はコンパイルに利用するコマンドを platex から uplatex に変更するだけです。

pLaTeX ではユニコード文字は扱えません。具体的には

  • 「草彅剛」の「彅」や「宮﨑あおい」の「﨑」のようにJISの第二水準を越える文字
  • 「ò」、「ö」、「ç」、「è」、「é」、「ê」のような非アスキーの欧文の文字

のような文字をそのままファイルに記入することができません。pLaTeX でこのような文字を利用したいときには、前者であれば OTF パッケージ を使い、後者であれば \`{o}\"{o} のような命令を使って書くことが普通だと思います。

一方、upLaTeX ではこれらのユニコード文字をそのまま使う(そのままファイルに書く)ことができます。私自身はユニコード文字を使う機会があまりないのですが、今どきユニコード文字が使えないという制限があるシステムを使うのはなんだかすごく時代遅れな感じがしたので、変えてみました。


jecon.bstをGitHubに登録


jecon.bstをGtiHubhttps://github.com/ShiroTakeda/jecon-bstに登録しました。といっても、そんなに変 更を加えるわけではないですが。develブランチの方にちょこちょこ変更を加えています。

自分のウェブサイトで配布するのは面倒なので、いずれ配布やら何やらも全部GitHubに移すことを考えています。


GAMS modeをMELPAに登録


GAMS mode を MELPA repositoryに登録してEmacsのパッケージ管理システム(package.el)を通じてインストールできるようにしました。MELPAからインストールするにはinit.elファイルに

(require 'package)
(add-to-list 'package-archives
             '("melpa" . "http://melpa.milkbox.net/packages/") t)
(add-to-list 'package-archives
	     '("melpa-stable" . "http://stable.melpa.org/packages/") t)
(package-initialize)

を追加してM-x list-packagesからgams-modeを選択します。このMELPAからインストールされるGAMS modeは以下のGitHubに置いてあるものです。
https://github.com/ShiroTakeda/gams-mode

GitHubにはmasterとdevelという二つのブランチがあります。一応、masterは安定版、develが頻繁に変更を加えている開発版になります。M-x list-packagesをするとgams-modeが二つでてきます。一つはMELPAに登録されたもの(「gams-mode + 日付け」 の名前のもの)で、もう一つがMELPA stableに登録されたもの(「gams-mode + バージョン番号」の名前のもの)です。

  • MELPAのもの → これがGitHubのmasterブランチの最新版のもの。
  • MELPA stableのもの → これはmasterブランチからリリースされたもの。

という対応になっています。前者のものをしばらく使ってみて特に問題がなさそうでしたらリリースするという手順にしていますので、後者の方がより安定的だと思います。

GitHubのdevelブランチのものはMELPAからはインストールできないです(もちろん自分で手動でインストールはできますが)。

一つ注意点ですが、MELPAからインストールするときにインストールされるのはgams-mode.elという本体のプログラムだけです。説明のファイル、Changelogファイル、サンプルのプログラムファイルなどはインストールされませんから、もしそれらが必要なら自分でGitHubからダウンロードする必要があります。 https://github.com/ShiroTakeda/gams-mode に行って、右上の「Download ZIP」ボタンを押せばまとめてファイルをダウンロードでき ます。

本体以外のファイルもM-x list-packagesでダウンロードできるようにすればよいのかもしれませんが、まだやりかたがよくわからず、やっていません。

それに、M-x list-packagesのインストールだけで使えなくはないですが、追加の設定が必要になる場合もあります。

特にGAMSをEmacsから呼出すにはgams.exeのあるフォルダを環境変数PATHに登録しておくか、init.elファイルで以下のように自分で指定する必要があります。

(setq gams-process-command-name "c:/GAMS/win64/24.6/gams.exe")

また、以下のように、GAMSのシステムフォルダの変数の設定もおこなっておくことが望ましいです。

(setq gams-system-directory "c:/GAMS/win64/24.6")

M-x list-packagesでMELPAからインストールできるといっても、結局いろいろ手作業で設定したりも必要になりますから、まだあまり簡単とは言えないですね。ただ、Emacsにpackage管理システムができてずっと楽にはなりましたが。