一般均衡モデルにおける価格の 0 次同次性(その三)


その一 & その二

(続き)ここでは中間財なし、閉鎖経済、完全競争モデルを仮定しましたが、これは中間財あり、開放経済(or 多地域)、不完全競争でも、一般均衡モデルにおいて成り立つ一般的な性質です。というのは上で利用しているのは、単位費用関数の一次同次性とマーシャルの需要関数のゼロ次同次性で、これは要するに

  • 価格が2倍になっても投入物の価格も2倍になるなら企業の行動は変わらない。
  • 所得が2倍になっても財の価格も2倍になるなら消費者の行動は変わらない。

ということで、合理的な経済主体を前提とするようなモデルでは普通この性質が成り立つと仮定するからです。

逆に言えば、経済主体の行動が名目値の絶対水準に依存してくるモデル、例えば、効用が「消費量」ではなく「消費額」に依存するモデル、生産量が「投入量」ではなく、「投入額」に依存するモデルであれば、均衡価格のゼロ次同次性は成り立たなくなります。ただ、特別な理由がない限り普通はそのような一般均衡モデルは使わないと思います。特に、ミクロ経済学の一般均衡モデルでは(マクロ経済学での一般均衡モデルではよく使うのかもしれませんが、最近はマクロ経済学でもミクロ経済学のモデルをベースにした実物的なモデルが多くなってきているようですから、やはりあまり使わないのかもしれません。詳しくないのでわからないです)。

なぜこのようなことを長々と説明したかというと、CGE分析をするときに「名目価格がどうなるのか知りたい」ということを聞く人がよくいるからです。最近も私が作成したCGE分析のモデルについて「計算では実質の価格(相対価格)しか求めていないが、名目価格を求めるにはどうすればいいのか?」という質問をもらいました。価格についてのゼロ次同次性が成り立つモデルであるので(何か特殊な想定を置かない限り)名目価格は求めようがないというのが答えです。

ミクロ経済学で一般均衡モデルを勉強していれば、一般均衡モデルにおける均衡価格のゼロ次同次性は当たり前のことですが、CGE分析をする人には理論のことはよく知らないがシミュレーションをしたいという人がいるので、そういう質問が多いのだと思います。



P.S. その一、その二では、WP LaTeXというプラグインを使ってLaTeXで数式を書いていますが、一つの記事に入れる数式の数に制限があるのか、一つのページにたくさんの数式を入れると正常に表示できません。仕方ないので3ページに分けました。



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