jecon.bst (ver.3.1)とbibファイルにおける日本語文献の著者名の指定方法について


jecon.bst(経済学用BibTeXスタイルファイル)のアップデートをしました。



通常、bibファイルにおいて英語文献の人名を指定するときには「名 姓」か「姓,名」という記述で指定します。例えば、著者がBarack Obamaであるときには

  author =       {Barack Obama}
  author =       {Obama, Barack}
のような指定をします。これはauthorフィールドだけではなく、editorについても同じです。

一方、日本語文献での人名の指定方法では姓名の順番が逆になります。つまり、「姓 名」という記法、あるいは「名, 姓」(注: 区切は半角カンマ)という記法になります。例えば、著者が「安倍晋三」なら、

  author =       {安倍 晋三}
  author =       {晋三, 安倍}
という指定になります(二つ目の指定方法を使う人はほとんどいないと思いますが)。editorフィールドでも同じようにします。

以上のようにbibファイルでは英語文献の場合と日本語文献の場合で人名の指定方法(姓名の順序)を逆にするというルールになっています。このため、日本語文献に対応したbstファイル(例えば、jplain.bst等)もそういう前提で作成されています。

[注]ルールと書きましたが、そんな厳密なルールがあるわけではなく、単に最初にBibTeXで日本語の文献を扱いだした人が日本人名に限って英語の場合と逆の書き方をして、その後の人はそれに従っただけかもしれません。

jecon.bstについても同様に作成されています。このため↑で説明したように、日本語文献の場合、「姓 名」という形で人名を指定することになります。これはauthorフィールドだけではなく、人名を指定する全てのフィールドeditor、yomi、jauthor、jkanyaku等でも同じようにします。

[注] ただし、一個例外があります。jecon.bstでは「R.J. バロー」というような外国人名を片仮名で記述する場合だけ英語文献での順番で指定します。


普通bibファイルはそういうルールで書くものということになっていますが、これでは少し困る場合があります。

まず第一にMendeleyのような文献管理ソフトを利用して文献を管理し、そこからbibファイルを生成するというような場合です。文献管理ソフトでは英語文献の人名であろうが、日本語文献の人名であろうが、普通は同じ扱いをすると思います。実際、私もMendeleyを利用していますが、英語文献でも日本語文献でも同じように人名を扱っています(日本語文献は姓名を逆に登録するというようなことはしません)。そうしないと著者名(姓)をキーにして表示する文献にフィルターをかけるときなどに困るからです。このように人名の扱いが同じため、Mendeleyからbibファイルを生成させると日本語文献の人名も英語文献の人名と同じ形の出力になります。こうして生成したbibファイルを通常のbstファイルで処理してしまうと日本語文献の人名の扱いがおかしくなってしまいます(姓名の順序が逆になってしまいます)。

もう一つは文献データベースで日本語文献も英語文献と同じように人名を扱っているケースがあることです。例えば、CiNiiという日本語の文献のデータベースを提供するウェブサイトがあります。CiNiiでは様々な形式で文献情報を出力することができ、BibTeX 形式でも出力できます。しかし、そのCiNiiが提供するBibTeX形式では著者名の扱いが普通のbibファイルのルールとは逆になっています。

例えば、http://ci.nii.ac.jp/naid/40019823794という文献の情報をBibTeX形式で出力すると次のようになります。

@article{白井大地:2013-09,
author="白井, 大地 and 武田, 史郎 and 落合, 勝昭",
title="温室効果ガス排出規制の地域間CGE分析",
journal="環境経済・政策研究",
ISSN="1882-3742",
publisher="岩波書店",
year="2013",
month="sep",
volume="6",
number="2",
pages="12-25",
URL="http://ci.nii.ac.jp/naid/40019823794/",
DOI="",
}
authorフィールドが
author="白井, 大地 and 武田, 史郎 and 落合, 勝昭"
となっており、英語文献と同じ姓名の順序で指定されていることがわかります。このように指定されていたら普通のbstファイルで処理すると姓名の順序が逆になってしまいます。

以上の問題に対処するため、新しいjecon.bstでは、日本語文献での人名が英語文献の人名と同様に記述されている場合でも適切に処理する機能を加えました。それにはjecon.bstの

FUNCTION {bst.sei.mei.order}
{ #0 }
という部分を
FUNCTION {bst.sei.mei.order}
{ #1 }
とします。 適切に処理するといっても、これまでは日本語文献の人名については無理矢理「姓」の部分を「名」、「名」の部分を「姓」とみなし逆の処理をするようにしていたのを、英語文献と同様に「姓」は「姓」、「名」は「名」として扱うようにしただけです。

このようにbst.ei.mei.orderに非ゼロを指定するとbibファイルにおいて日本語文献の人名も英語文献の人名と同様の記法が使われているものとして処理をおこないます。これはauthorフィールドに限った話ではなく、editor、yomi、jauthor、jkanyaku等も全て英語表記の人名と同じ形式で記述されているとみなします。

昔はbibファイルというのは自分で作成する(自分で書く)ものであったと思います。ですので、日本語文献の場合、姓名を逆にするというルールもおかしくはなかったのかもしれません。しかし、現在では、文献の情報を文献管理ソフトで管理したり、ネットのデータベースからとってくることが多くなっています。そういったソフトウェアやデータベースにおいて英語文献、日本語文献とも同じように人名を扱っていることが多いようですので、今後はbibファイルにおいてもそういうルールが普通になってくるかもしれません。ただそうなると、これまで作成された日本語文献に対応したbstファイルは使えなくなってしまうという問題はありますね。



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