BibTeX用の文献データベース


昔は bib ファイル(BibTeX用のデータベース)は自分で作成するものでした。しかし、最近はネットから bib ファイルの情報を入手したり、文献データベースソフトから bib ファイルを作成できるようになりました。英語の論文なら、例えば

  • 雑誌の出版社のページ
  • Google Scholar
  • IDEAS(これは経済学系の論文のみみだと思いますが)
  • Cinii(ここは主に日本語の論文のデータベースですが、英語の論文のデータもあります)
  • Mendeley(文献管理ソフトのMendeleyから出力)

などから bib データが入手できます。

このようにネット等から入手可能ですので、自分で手作業でデータベースを作成するという面倒な作業をする必要がなくなり非常に楽になりました。 それはいいのですが、現状では同じ文献であっても、どこから入手するか(つまり、ソース)によって含まれる情報が異なることが多いので少し困ります。

以下の論文を例にとって、説明します。

Shiro Takeda (2007) "The double dividend from carbon regulations in Japan", Journal of the Japanese and International Economies, 21(3), pp. 336-364.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002

上記の論文の場合、以下の5つのソースから bib データを入手できます。

  • 雑誌の出版社(Elsevier)のページ
  • Google Scholar
  • IDEAS
  • Cinii
  • Mendeley

実際、入手できるデータの内容を以下に掲載します。

■ 出版社(Elsevier)の論文のページ

まず、出版社(Elsevier)の論文のページ(↓のページ)から取得できる bib データからダウンロードできる情報

@article{TAKEDA2007336,
  title        = "The double dividend from carbon regulations in Japan",
  journal      = "Journal of the Japanese and International Economies",
  volume       = "21",
  number       = "3",
  pages        = "336 - 364",
  year         = "2007",
  issn         = "0889-1583",
  doi          = "https://doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002",
  url          =
                  "http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889158306000128",
  author       = "Shiro Takeda",
  keywords     = "The double dividend, Carbon regulation, CGE analysis, Japan",
  abstract     = "Using a multisector dynamic CGE model, this paper examines the
                  double dividend from carbon regulations in Japan. The model
                  has 27 sectors and goods (eight goods generate carbon
                  emissions) and covers 100 years (from 1995 to 2095). When
                  carbon regulations are introduced, pre-existing taxes are
                  reduced, keeping government's revenue constant. Our main
                  findings are summarized as follows. First, the weak double
                  dividend arises in all scenarios. This means that by using
                  revenues from carbon tax to finance reductions in pre-existing
                  distortionary taxes, one can achieve cost savings relative to
                  the case where the tax revenues are returned to households in
                  lump-sum fashion. Second, the strong double dividend does not
                  arise from reductions in labor and consumption taxes, but it
                  does from reductions in capital tax. The second result is
                  attributable to the nature of the pre-existing tax system in
                  Japan where capital taxes are more distortionary than labor
                  and consumption taxes. J. Japanese Int. Economies21 (3) (2007)
                  336–364."
}

■ Google Scholar

次は、Google Scholarから取得できる bib データ → これ

@article{takeda2007double,
  title        = {The double dividend from carbon regulations in Japan},
  author       = {Takeda, Shiro},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  volume       = {21},
  number       = {3},
  pages        = {336--364},
  year         = {2007},
  publisher    = {Elsevier}
}

■ IDEASのデータ

IDEASから取得できる bib データ → このページから取得できるもの

@Article{RePEc:eee:jjieco:v:21:y:2007:i:3:p:336-364,
  author       = {Takeda, Shiro},
  title        = {{The double dividend from carbon regulations in Japan}},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  year         = 2007,
  volume       = {21},
  number       = {3},
  pages        = {336-364},
  month        = {September},
  keywords     = {},
  doi          = {},
  abstract     = {No abstract is available for this item.},
  url          = {https://ideas.repec.org/a/eee/jjieco/v21y2007i3p336-364.html}
}

■ cinnのデータ

ciniiから取得できる bib データ → このページから取得できるもの。

@article{10029652176,
  author       = "TAKEDA, S.",
  title        = "The Double Dividend from Carbon Regulations in Japan",
  journal      = "Journal of the Japanese and International Economies",
  ISSN         = "",
  publisher    = "",
  year         = "2007",
  month        = "",
  volume       = "21",
  number       = "3",
  pages        = "336-364",
  URL          = "https://ci.nii.ac.jp/naid/10029652176/",
  DOI          = "",
}

■ Mendeley

Mendeleyで文献を管理していて、それをbibデータとして出力して得られるもの。

@article{Takeda-2007-DoubleDividendfrom,
  abstract     = {Using a multisector dynamic CGE model, this paper examines the
                  double dividend from carbon regulations in Japan. The model
                  has 27 sectors and goods (eight goods generate carbon
                  emissions) and covers 100 years (from 1995 to 2095). When
                  carbon regulations are introduced, pre-existing taxes are
                  reduced, keeping government's revenue constant. Our main
                  findings are summarized as follows. First, the weak double
                  dividend arises in all scenarios. This means that by using
                  revenues from carbon tax to finance reductions in pre-existing
                  distortionary taxes, one can achieve cost savings relative to
                  the case where the tax revenues are returned to households in
                  lump-sum fashion. Second, the strong double dividend does not
                  arise from reductions in labor and consumption taxes, but it
                  does from reductions in capital tax. The second result is
                  attributable to the nature of the pre-existing tax system in
                  Japan where capital taxes are more distortionary than labor
                  and consumption taxes.},
  author       = {Takeda, Shiro},
  doi          = {10.1016/j.jjie.2006.01.002},
  issn         = {08891583},
  journal      = {Journal of the Japanese and International Economies},
  keywords     = {CGE,Double dividend,Japan,carbon tax,dynamic C},
  month        = {sep},
  number       = {3},
  pages        = {336--364},
  title        = {{The Double Dividend from Carbon Regulations in Japan}},
  url          = {http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0889158306000128},
  volume       = {21},
  year         = {2007}
}

5つのソースからのデータの違い

同じ文献であっても、ソースによってデータが異なることがわかると思います。どこが異なるか簡単にまとめます。

[注]

以下では、主に「論文で引用した際に参考文献(reference)に掲載するための情報」という観点で考えます。純粋に文献の情報のデータとして考える場合にはまた事情が異なると思います。

項目の違い
  • そもそもソースによって、提供されている項目とされていない項目に違いがあります。
  • 例えば、abstract, doi, url, keywords, publisher 等のフィールドはソースによって提供されて いたりいなかったりします。
引用のためのキーワード
  • ソースが異なると引用のためのキーワードが全く違います。
  • BibTeXで引用するときには、このキーワードを用いて引用しますから、ソースが異なるとTeXのファイルの方も変更が必要になります。
author
  • ciniiでは著者の姓が全て大文字になっています。
  • 名前の姓の部分を大文字で表現することはよくありますが、論文で引用するとき、参考文献に掲載するときにはそういうものはあまり見ないので、全て大文字ではなく、普通の形式がいいと思いますが。
  • ただ、欧米人以外では大文字で示さないと、どちらが姓かわからなくなることがあるのかもしれません。
title
  • 「{」、「}」で囲んである場合とない場合があります。
  • 括弧で囲んである場合、BibTeX の処理の際に全く変更(文字列の大文字化、小文字化等)がおこなわれなくなります。
  • IDEAS & Mendeley → 囲みあり
  • その他 → 囲みなし
DOI
  • 最近は DOI 情報を含んでいるものが多いですし、実際、reference での情報において最も重要な情報ではないかと思います。ですので、DOIが提供されていないと困ります。
  • Elsevier -> https://doi.org/10.1016/j.jjie.2006.01.002
  • Mendeley -> 10.1016/j.jjie.2006.01.002
  • その他 → 提供なし
  • Elsevier と Mendeley では提供されていますが、その形式が異なります。Elsevier では https://doi.org/ の部分も含まれます。この二つ以外は DOI 情報の提供はなしです。
ページ番号
  • これはどのソースでも提供されていますが、形式が異なります。
  • Elsevier → "336 – 364",
  • IDEAS と cinii → "336-364",
  • Google と Mendeley → "336–364"
  • 形式が異なると、BibTeX で処理する際に統一的な処理が難しくなってしまいます。
ISSN
  • ISSN(International Standard Serial Number、国際標準逐次刊行物番号)は雑誌を識別するための番号だそうです。reference に情報として掲載されているのは見たことがありません。ジャーナル名の情報があればそれですみますので、特に必要ないのですが、もしかしたら必要なときがあるのかもしれません。
  • Elsevier → "0889-1583"
  • Mendeley → "08891583"
  • 他 → 提供なし
URL
  • Elsevier → http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889158306000128
  • IDEAS → https://ideas.repec.org/a/eee/jjieco/v21y2007i3p336-364.html
  • cinii → https://ci.nii.ac.jp/naid/10029652176/
  • Mendeley → http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0889158306000128
  • Google → なし
  • Google 以外は提供しています。しかし、ソースによって情報が異なります。そもそも出版されている論文については URL よりは DOI を提供した方が望ましく、むしろ URL は変更される可能性が高いということで情報を載せない方がいいのではないかと思います。
  • DOI が存在する文献については、意味のない(むしろ有害な?)情報だと思います。
その他
  • abstract, keyword, publisher 等のフィールドについても出所によって提供されて いたりいなかったりします。

どの情報をreference に表示するかは、雑誌によって微妙に異なりますが、ある程度は共通した方針があると思います。微妙な違いとは、例えば、雑誌によっては journal article の巻(volume)は掲載するが、号(number or issue)は掲載しないとしているような違いです。この程度の違いでしたらどっちでもいいかと思います。

journal article については最近 DOI 情報を含んでいる文献データが多いと思います。DOI は論文の掲載場所を一意に表す役割をはたしているので、最も重要な情報ではないかと思います。仮に他の情報が掲載されていないくても、DOI さえわかれば他の情報は全て DOI から探せますので。上に挙げたソースでは DOI を提供しているものとしていないものがありますが、もし文献情報を提供するのなら(journal articleについては)必ず DOI は提供してもらいたいと思います。

BibTeX における処理という観点からは、ソースによって提供されている情報が変わることはあまり問題にはなりません。というのは、情報が提供されていれば表示し、されていない場合には表示しなければいいだけですから。

BibTeX の処理で問題になるのは、ソースにより提供されている情報の形式が異なる点です。例えば、DOI は Elsevier が提供する形式と Mendeley が提供する形式で異なります。Mendeley形式のDOIの情報をElsevier形式を前提としてBibTeXで処理すると間違った DOI の表記になってしまいます。BibTeXでの処理方法(つまり、bstファイルの作成)を考えるときには、文献の情報がある決まった形の形式で提供されていることを前提としますので、複数の形式があるのは困ります。

ページ番号の情報も、ソースによって形式が異なっているので、同じことが言えます。

また、できれば BibTeX の引用用のキーワードは統一されていると便利ですが、データベースを作成しているところがばらばらに独自の方法でつけているので、統一は難しいですね。

文献のデータベースがネットで提供されるようになり、便利にはなりましたが、改善してくれるといい点がまだまだありますね。



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