20年前のMOディスク


私がはじめてパソコンを購入したのは早稲田の大学院修士課程に入学した頃ですので、1996年頃だったと思います。ただ、あまりスペックが高いパソコンではなく、しかも家はネットの通信環境がよくなかったので(ダイアルアップだったので)、大学のパソコンルームのパソコンをよく利用していました。98年、99年頃には24時間オープンしているパソコンルームもあったので、夜にもよく利用していました。ただ、大学のパソコンには自分の必要なソフトがインストールされていないため、MOディスクに必要なソフトやファイルを入れて持ち歩いていました。

今の若い人は「MOディスク」のことなど知らないと思いますが、大きさはフロッピーディスクくらいで、フロッピーディスクと同様に書き換え可能なメディアですが、その当時としてはかなりの容量を保存できるということで、利用者もそれなりにいたと思います(そもそも若い人はフロッピーディスクも知らないでしょうが)。なぜか大学のパソコンにはMOドライブが設置されていたので、MOディスクに必要なソフトやファイルを入れて持ち歩いていました。

その当時使っていたMOディスクをずっととってあったのですが、今はMOドライブなど私自身持っていないですし、身近なところにもないので、その中身を読むことができませんでした。が、最近、MOドライブの中身を吸い出して、CDなどへコピーをしてくれるサービスがあることを知ったので、それを利用して中身を取り出してもらいました。代金は1000円くらいでした。

なにが入っているかよく覚えていなかったのですが、以下のものが入っていました。

  • Meadow(Emacs)一式
  • Meadowの設定ファイルいろいろ
  • TeX一式
  • TeX関連のソフト(dviout, ghostscript, gsviewなど)
  • bash, gzipのようなUnix系のコマンドラインのプログラム
  • 修士論文のTeXのファイル
  • その他のソフトウェア
    • gnuplot
    • lha
    • Perl 5
    • plain2
    • Mayura Draw

今は論文(やその他のいろんな資料、書類)を書くのに主にWordを利用していますが、その当時は主にTeX(pLaTeX)を利用して論文を書いていました。また、そのTeXのソースの編集にはエディタの 「Meadow」を使っていました。MeadowというのはUnixのエディタEmacsをWindowsに移植したものです。今はEmacs自体のWindows版があるのですが、その当時はまだUnix版しかなく、WindowsユーザーはMeadowを利用していました。

また、その頃、bashやgzipやらのUnixのコマンドがWindowsに移植されるようになったので、それも使っていました。

Mayura Drawというのは図を描くためのソフトです。Adobe Illustratorのようなベクター画像を描けます(もちろん、機能はillustratorと比べれば少ないですが)。論文に入れる図などは、これで描いて、それをEPS画像にして使っていました。試しにクリックしてみたら、20年以上前のプログラムなのに、Windows 10でちゃんと起動して、使えました。

gnuplotはグラフを描くため、PerlはTeXのコンパイルにlatexmkというPerlスクリプトを利用していたので、インストールしていました。plain2というのは、普通に書いた文章をTeXのファイルに変換してくれるソフトです。結局、全然使いませんでしたが。

ちょうど修士論文を執筆しているときに利用していたディスクなので、修士論文のファイルも一式入っていました。TeXで書いていたので、TeXのソース一式です。修論のメインのファイルを見てみると、PSfragを使うなど、ちょっとトリッキーなこともしています。PSfragとはEPS画像の中の文字列を別の文字列で置き換えるというパッケージです。また、その頃にはもうBibTeXも使っていて、しかも、bstファイルも修論用に自分でアレンジしたものを使っていました(aer.bstを修正したものでした)。

試しに修士論文のTeXファイルを現在インストールしているTeX(TeX Live 2020のTeX)でコンパイルしようとしましたが、エラーになりできませんでした。そこで、MOに入っているTeXを使ってコンパイルしたところ上手くできました。それでできたDVIファイルをdvi2psでPS(postscript)ファイルにし、さらにps2pdfでPDFにしました。dvipdfmでPDFファイルに直接変換するのではなく、dvi2psで一度PSファイルに変換するのは、TeXファイルで利用しているPSfragがdvipdfmに対応していないためです。

できあがったPDFファイルはちょっと図の部分がおかしいところを除いて上手くコンパイルできています。TeXの原稿のファイル自体はテキストファイルですので、20年前のファイルを今でも普通に編集できますが、それをコンパイルするとなるとちょっと大変ですね。まあ、特殊な命令やパッケージを利用していなければ今のTeXでもそのままコンパイルできることが多いとは思いますが。

ついでに一緒にMOに入っているMeadowを使ってみようとしましたが、こちらは全く起動しませんでした。もうWindows 10では動かないのかもしれません。Emacsの設定ファイルである".emacs"ファイルには

;;;;;          -*- mode: lisp-interaction; syntax: elisp -*-
;;;;;
;;;;;              .emacs for Meadow (Shiro TAKEDA)
;;;;;
;;;;;              First written: <1999/02/14 18:12:16>
;;;;;
;;;;;              Time-stamp: <1999/02/15 04:24:33>

と書かれているので、1999年のものです。

Meadowの前にはUnixのMuleをWindowsに移植した「Mule for Win32」も使っていたので、Emacs(系のソフト)をもう22、3年利用していることになります。今はEmacs以外にもエディタはたくさんあり、Emacsの利用者は減っているようですが、私は今後もEmacsをメインのエディタとして使うと思います。さすがに20年も使うと他に移りにくいというか、移る気が起きません。



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