負の値をとる変数の変化率(?)
今まで変数の変化率は最初の値がゼロでなければいつでも定義(計算)できるとばかり思っていたのですが、馬鹿みたいに単純なことをよくわかっていないことに気がつきました。
何かというと負の値をとる変数の変化率をどう考えればいいかということです。
変化率は通常次の式で計算されます。
\[ A式: \ \ 変化率 = \frac{変化後の値 – 変化前の値}{変化前の値} \]例えば、「変化前 = 10」、「変化後 = 12」なら
\[ 変化率 = \frac{12-10}{10} = \frac{2}{10} = 0.2 \]となります。
しかし、「変化前 = −10」、「変化後 = −8」として、A式を使うと
\[ 変化率 = \frac{-8+10}{-10} = \frac{2}{-10} = -0.2 \]となります。増加しているのに変化率はマイナスになるのでおかしいです。
なんだか馬鹿みたいに単純な話かもしれないのですが、そもそも負の値をとる変数の変化率は定義できないということなのでしょうか?
biblatex-japanese の Pull Requests をありがとうございます.前田です.
この土日は何も出来なさそうなのですが,少し前の記事がたまたま目に入ったので息抜きにコメントを.
数学の話に限れば,「変化率は基準となる量に対する変化量の割合」ということでしょうから,負の数から増加すれば負の変化率になるというのは正しいでしょう.書かれている例ならば (-10)*(-0.2) = 2 増加して -8 になるというわけです.このような変化量は,科学分野で実験の誤差を評価する際には相対誤差といって,ごくふつうに用いられるものです.
経済・経営学的に意味のある値という話になるとよくわかりませんね.少し調べた限りだと,財務諸表では前期や当期が赤字の場合は変化率を計算しないようです.単純にプラスが増加,マイナスが減少と思っていると騙しかねないからでしょう.
どこかの質問サイトでは「基準となる量は絶対値をとらなければならない」として,上の例ならば (-8+10)/|-10| = 0.2 といった計算をする回答がついていましたが,これも
-10 → 100 ならば (100+10)/|-10| = 11
-100 → 100 ならば (100+100)/|-100| = 2
といった具合で,変化後の量が同じでも変化前の量が小さくなればなるほど変化率が小さくなるので,やはり正の場合とは逆のことが起こってしっくりこないのではと思います.
前田さん、ありがとうございます。
単純な話のような気がするのですが、検索しても結局よくわからず、なんだかもやもやしていたところです。相対誤差という概念は知りませんでしたので、参考になりました。
biblatex ですが、急いで修正する必要があるというわけではありませんので、お時間があるときでかまいません。私自身が biblatex(だけではなく、LaTeXのマクロ全般)のことをまだあまりよくわかっていないので、ちょっと勉強したいと思います。
よくよく考えると,科学実験でも真値は正の場合が多いので,あまり負の状況にお目にかかることはないかもしれません(全くないとまでは言えません).私の周辺だと数値計算の話(真値が負もありえる)があって,そこでも相対誤差はよく出てきますが,大きさだけが問題なので絶対値をとってしまうことがほとんどです.
biblatex は,ちゃんとやらないとまた issue が溜まってしまいそうなので,早めに対応したいと思っています.しばらく放置してしまっている間に,biblatex 自体の仕様が変わっていそうなので,少し情報収集もします.